SMは痛いことをするものではない
SMと聞くと痛いことをするだけのものって思う人は多いと思います。
スパンキングしたり、手首を縛ったり、軽く首を絞めたり。
もちろんそういうのもSMの一つではあります。
でも、Mの人は痛いことをされるのが必ずしも好きで、痛さや苦しさを求めてSMをしてるんではないのです。
では、何を求めてるのかというと、
Mの人は「解放」を求めている
というのが、答えになります。
SMと一言で言っても本当にいろんな人がいて、必ずしも全員が当てはまるわけではないのがSMの世界なのですが、SMというマイノリティの世界の中のマジョリティで言うと、これになると思います。
「解放」とは何なのか?
解放と言われても、何を解放するのか意味がわからないと思うので、少し説明をします。
人は誰しも日常において色んな仮面を被って生きています。
「会社での仮面」
「母親の仮面」
「子供としての仮面」
「友達の前の仮面」
「自分しか知らない仮面」
多くの人が背伸びをして、頑張って、様々な仮面をつけて日常生活を生きています。
ジョハリの窓という心理学の考え方があるのですが、人は色んな仮面を持っているということです
でも、普段は色んな仮面をつけてはいるけれど、出来るならば仮面を外して素顔を晒し、本当の自分を曝け出したい。
仮面をつけていない本当の自分を曝け出しても受け入れて貰える場所が欲しい。
それが、「解放」ということだと思います。
人はみんな解放を望んでいるのか?
では、人間は誰でも解放を望んでいて、Mになるのか?
というと、勿論そうではありません。
そうだとしたら、もっと一般のSMへの理解が深まってることでしょう。
解放とは一種の欲望の発散であるとも言えます。
日常の抑圧されたストレスからの発散であったり、
性欲としての発散であったり、色んな発散が混じり合っています。
欲望の発散の仕方は人それぞれで、身体を動かしてスポーツをすると発散できる人もいれば、セックスをすることで発散できる人もいるし、お酒で発散できる人もいるし、何か趣味など好きなことで発散できる人も色々いると思います。
その発散方法が、SMという方法でないと発散出来ない人がいるのです。
SもMも、大人になってから気付いたという人もいれば、小児期から性癖を持ってる人も多く存在します。
セーラームーンなど子供の頃のアニメで、ヒーロー側の応援ではなく、ヒーローが悪者に捕まって痛めつけられているシーンで興奮してた人は、小児期からSMの嗜好を持っていた人だったりします。
なぜ痛いこと苦しいことを受けるのか。
解放とは不自由からの脱出であるにも関わらず、何故か逆に拘束されて不自由になり、さらにボロボロにされる。
矛盾をしていて意味が分からないですよね。
それは、自由であることが不自由であるからです。
人は選択肢が多いと、正しい選択を選べないといいます。
行動経済学では、「選択のパラドックス」というのですが、思い当たる人も多いと思います。
クレジットカードをどれにしようかとか、保険はどれにしようかとか、人は多すぎる選択肢が目の前に用意されると、考えることをやめてしまいたくなります。
その結果、誤った選択をしてしまうことに繋がります。
このように沢山の自由があるからこそ、不自由に繋がることになります。
だからこそ、自由すぎる世界から自由を奪われて不自由になることが、自由からの解放に繋がるのです。
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