【初心者必見】SMを楽しむための医学の基礎知識2 〜医療機関受診編〜

SMに興味がある、あるいはすでに楽しんでいる人たちの中にも「もし何かトラブルが起きたとき、どうしたらいいの?」という不安を抱えている人も少なくないでしょう。

特に初心者やこれからプレイしてみたい方にとって、この問題はとても重要です。

この記事では、SMプレイ中やその後に医療機関に行かなければならなくなったとき、受診する際のポイントや受診に対する不安を和らげるための情報をわかりやすく解説します。

目次

SMを安心して楽しむための大前提

まず大前提として、「SMプレイのリスクは最小にはできるが、0にすることはほぼ不可能である」ということを頭に置いておいてください。誰の非でもなく、予想外のアクシデントは起きるときは起きてしまいます。

いきなり強い言葉を使ってしまいましたが、万が一アクシデントが発生した際でも、“そういうことも起こりうるという心構え”を持ち、“医療機関の受診方法”を知っていれば、冷静で適切な行動を取ることができ、結果的にダメージを最小限に抑えられます。

そこで、実際にトラブルが起きてしまった際、適切な行動を取るために必要な

・どんなときに受診したらいいの?

・どこに問い合わせればいいの?

・どうやって症状・経緯を伝えればいいの?

・医療費はどうすればいい?

・そもそもトラブルを防ぐには?

という5つの疑問を解消すべく、医療機関の受診方法を解説していきます。

受診が必要な場合とは?

SMプレイの中には身体や心に負荷をかけるものも多いため、以下のような状況では医療機関の受診を検討してください。

  1. 出血が止まらない場合:鞭や鋭利な道具を使ったプレイによる損傷など。
  2. 皮膚に異常がある場合:火傷やアレルギー反応、皮膚の腫れや膿みなど。
  3. 感覚に異常がある場合:緊縛や拘束によって手足の感覚が鈍くなったり、しびれが長時間続いたりする場合は、筋肉や神経、血流に問題が生じている可能性があります。
  4. 全身的な異常がある場合:発熱や腫れや膿は、感染症の問題が生じている可能性があります。
  5. 動きに異常がある場合:骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷の可能性があります。
  6. 心理的な影響が残る場合:プレイ後に強い不安や過剰なストレス、不快な気分や気持ち悪さ(嘔吐、頭痛、めまい)を感じることがあります。精神的なケアが必要になることもあります。
  7. その他:日常生活に支障をきたす場合。

また、SMプレイ中や直後だけではなく、時間が経過してから症状が出る場合もあります(発熱や痺れなど)。そうした場合も、慌てずに医療機関を受診してみてください。

蝋燭プレイはちょっと注意が必要・・・

SM業界の通念と医学的な知識の間には、認識としてズレている点が見られます。

そのひとつが、蝋燭プレイによる“火傷”の理解です。

一般的なイメージとしては“火傷”と聞くと「水ぶくれ」や「ただれ」を想像することが多いのではないでしょうか。これは医学的にはⅡ度以上の火傷と診断される場合があります(“ひどい火傷・程度の深い火傷”という感じです)。このⅡ度以上の火傷を予期せず負ってしまうと、SMプレイにおいて火傷と認識され、事故扱いとなる傾向が見られます。

しかし、厳密に言えば医学的には“火傷”にはⅠ度からⅢ度まで分類があり「皮膚が赤くなる」「ヒリヒリする」という場合はⅠ度の火傷に該当する可能性があります(日焼けもⅠ度以上の火傷です)。つまり、SMで蝋燭を用いたプレイは医学的に言えば多くの方が火傷を負っていることになり、同意の上でⅠ度の火傷を活用していることになるのです。

ですので、「皮膚が赤くなる」「ヒリヒリする」といった程度が小さく思えることでも、プレイを受けた方が違和感や不安を感じるのであれば、医療機関を受診することをおすすめします。

どの診療科に行けばいいの?救急車は必要?

医療機関に行く際に、何科を受診すべきか迷うこともあるかと思います。そんなときは、まずは救急相談センター(♯7119)に電話で確認することをお勧めします。

救急相談センター(♯7119)は、急な病気や怪我をしたときに「救急車を呼んだほうが良いか?」、「今すぐに病院に行ったほうがいいか?」など、判断に迷ったときの電話相談窓口です。通話代はかかりますが、無料で相談することができます。

電話相談には看護師等の資格を持つ相談員が対応してくださり、病気や怪我の症状を把握して緊急性や救急車を呼ぶ必要があるか否かについて助言をしてくれます。他にも、医療機関の案内や症状に応じた応急手当方法のアドバイスもしてもらえます*。

ですので、受診について迷ったらまずは慌てず、恥ずかしがらず、冷静に救急相談センター(♯7119)に電話してみてください。

*一部の地域では、救急相談センターで医療機関の案内を行っていない場合があります。その場合は、病院・クリニックの総合受付や総合診療科に電話で問い合わせてみてください。そこで症状や経緯を説明し、何科に受診するか指示を仰ぐことをおすすめします。

医療機関受診へのハードル

医療機関での受診の必要性を頭では分かっている一方で、SM関連でトラブルがあった場合、多くの方が以下のような理由で受診をためらうことがあります。

  • 恥ずかしい:医療スタッフや医師・看護師にプレイの内容を話すのが恥ずかしい。
  • 偏見が怖い:SMに対する偏見を受けるのではないかと不安になってしまう。
  • 必要性がわからない:軽い痛みや怪我なら様子を見ても大丈夫と思ってしまう。

こうした理由から、必要な医療ケアを受けないまま放置してしまう人もいます。しかし、適切なタイミングで医療機関を受診することは、お互いの心身の健康を守るために非常に重要です。ですので、医療機関にかかる必要性を感じたら、迷わずに受診してください。

医療機関での伝え方

医療機関に到着したら、問診から始まります。そのため、事前にできる限り「いつ、どのような状況で、どんなことをして、どこが、どうなったか」という5つの情報を整理しておいてください。

このとき、申告に嘘や隠し事があると、医療従事者も適切な検査と診断と治療ができなかったり、医療従事者とあなたの間に不信感を生んでしまう原因になりかねません。

かといって、プレイ内容や状況をどのように伝えるべきか悩む人が多いかもしれません。そこで、スムーズに受診を進めるためのポイントは3つです。

  1. 簡潔に説明する
    • 必要以上に詳細を語る必要はありません。たとえば、「遊びの中で鞭を使い、皮膚に傷ができました」といった簡潔な説明で十分です。
  2. 正確な情報を伝える
    • 使った道具やプレイの時間、症状が出始めたタイミングなど、医師が適切な診断を行うための情報を正確に伝えましょう。
  3. 自信を持って受診する
    • 医療従事者はプロフェッショナルです。偏見や個人的な感情を持たずに、患者として必要な治療を提供するのが彼ら・彼女らの役目です。

偏見を感じたらどうする?

万が一、医療従事者から偏見を感じた場合、それが不快であれば別の医療機関を受診することも検討しましょう。また、患者としての権利を主張することも大切です。

一部の医療機関や専門家は、性に関連する問題や多様なライフスタイルに理解が深いことがあります。LGBTQ+フレンドリーや性の多様性に対応しているクリニックを探すのも一つの方法です。また、普段から信頼のできるかかりつけ医を決めておくのもよいでしょう。

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