「SMマッチングサイト」であるLuna。その活用目的は、人により様々です。
SMパートナー探しはもちろんのこと、SM婚まで考えられるような恋人探し、SMバーに一緒に行ける・SMを語らえるようなお友達探しまでーー。
Lunaでは、そんな皆さんのドラマを伺わせていただくために、ユーザーインタビューを行なっております。
今回、インタビューを受けて下さったのは、Lunaを使って100名ほどとやり取りをされた、かえでさん(仮名)。
関東にお住まいの、30代後半/S女性です。
幼少期に受けた性被害をきっかけに、男性に不信感を抱くようになり、Lunaの利用がその傷に向き合うきっかけになったそうです。
(※この記事には、幼少期の性被害のエピソードや、異性に対する過激な表現が含まれますが、話し手の表現を重視・尊重し、掲載させていただきます。
該当の内容について、PTSD症状の見られる方は、フラッシュバック等ご注意の上、読み進めて下さい。)
ご自身がLunaを始められたキッカケを教えてください。

かえでさん:
昨年(2023年)の…4月頃ですかね。
Lunaが、ネットニュースの記事になっていました。
参考:「男性の泣き顔が好き」41歳公務員の女性が告白…SM愛好者のマッチングサイト『Luna』に爆ハマりしたワケ
https://gendai.media/articles/-/107685?imp=0
その記事に、界隈のことも少し書いてあって…元々興味があったのもあり、始めることにしたんです。

かえでさん:
私は昔から、ロリコンからの性被害に遭うことが多くて。
大人の男性が近付いてくると、警戒心が高まるようになっていました。
小学生の頃からずっと、加害者に対して、「思いっきりやり返して、ボコボコにしてやりたい」という気持ちがあった気がします。
気持ちはあったのですが…口に出してはいけないような気がしていました。
そうして気持ちを眠らせていた中で、記事を見て。
少しずつ「やってみよう」という方向に気持ちが傾いていったんです。
元々、SM自体に興味はあったんですか?
かえでさん:
当時は、”SM”という認識はなかったのですが、
”男の人を椅子にして座ってみたい”とか、”ネクタイを引っ張ってみたい”というような気持ちはありました。
「男性を痛めつけたい」というより、「女性優位のような接し方をしてみたい」という感覚ですかね。
先天的に、S的な感性があったのでしょうか?
かえでさん:
先天性の「癖」という訳ではなく…性被害がきっかけだったのかもしれません。
小学生の頃に通学路で、知らないおじさんに抱きしめられて持ち上げられるとか、どこに連れて帰られるとか、そういったことがありました。

かえでさん:
その時点で、”大人の男性が怖いし、憎い”という気持ちが生まれました。
向こうはやれるのに、やり返す力がなかったので、すごく「やり返したい」という思いが出てきて…。
「なんかボコボコにしたい」という気持ちは、そこで生まれたんだと思います。
なので、私は今でも、「性癖」という認識はしていないんです。
そういったきっかけで、男性不信になっていったのですね。
かえでさん:
小学生時代に、ロリコンによく遭遇したことに加えて、父親がDVをする人で。
家の中でも外でも、大人の男性がそんな人で…男の人が、少し苦手になっていきました。
その頃から、「今の自分にはできないけど、ボコボコにしてやりたい」という気持ちが生まれたり、「自分を守るために、スタンガンを持って歩きたい」と思っていました。

かえでさん:
まだ幼かったので…大人に相談するようなことなのかどうかも分からなくて。
不審者に抱っこされても、「何されてるのか」っていうのは分からなくて。
一度、連れ去ろうとする人が現れたので、その時は通学路を変えてもらいましたが、
それ以外のことは、「大人に言わなきゃいけない」という認識が持てていませんでした。
そういった恐怖の経験から、「男性をボコボコにしてみたい」とか、「男は下等生物」というような認知が作り上げられていったんだと思います。
小学生から、男性不信は続いていったのでしょうか?
かえでさん:
そうですね。
それは基本的に変わらず。「男は下等生物」と思っていました。
男性に対して、憎悪のような気持ちがありました。
でも、高校生になると、自然と彼氏ができたりもして。
なんとかお付き合いをしたりもしていました。
彼氏さんには、「ボコボコにしたい」というような気持ちは打ち明けられましたか?
かえでさん:
言えなかったです。
誰にも言ったことがなかったですし、その発想もなかったです。
多分、男の人をボコボコにしたいのは、「癖」というより、「復讐したい」という思いだったので。
付き合っている人に対して、ボコボコにしたいという思いを持ったことはないんですよ。
”この人は違うジャンルの人”っていうか、”この人は男性だけど、大丈夫な人”と思っていました。

かえでさん:
LunaとXを始めた当初は、(性癖がSの)皆さんが、「”好きな人”をボコボコにしたくなる」という感覚が分かりませんでした。
申し訳ないような、何だか自分が変なのかなって思うような感じでした。
皆さんは、”単に憎しみを持っている訳じゃないな”と…なんだか、申し訳ない気持ちになったのを覚えています。
自然と彼氏ができて、付き合って、別れて…というのが、何度かあったのでしょうか?
かえでさん:
そうですね。
付き合うと数年だったので、結構長いし、人並みに交際はしてきたと思います。
「Lunaで100人くらいやり取りされた」とのことだったのですが、それだけたくさんの人と話そうという思いに至ったきっかけはありましたか?
かえでさん:
”一人の人生でも楽しめるんだけど、二人でも楽しめる”というのが、関係として理想だなというのがあって。
だから、「まずは一人でも楽しめる人間になって、誰かといるともっと楽しいみたいな人間になろう」ということをしていたんです。
その試みとして、箱根に一人で行ったんですよ。

かえでさん:
途中までは景色を楽しめたんですけど、帰りに家族連れとか、カップルとかがいっぱいいる訳で。
その中で、すごく寂しくなって。なんか涙が出てきて。
「あー、私、本当は寂しいんだな」というのに気づいてしまって。
ちょっとご飯を食べられなくなったりもして……。
そんなタイミングでLunaの記事に出会ったんです。
昔からの願望というか、男の人を受け入れられない気持ちをボコボコにして解消できるなら、それはすごくラッキーだし。
もし性癖が開花したら、「今一人ぼっちを楽しんでるより良いかな」と思って、登録をしました。
私の中では、大きな人生の目標があって、小さい頃に抱えた乗り越えたいものがあって。
その目標に対する手段としてやっていたから、100人とお話したんだと思います。

かえでさん:
そんな中で気づいたのが、Mさんって、なんか傷ついてる人が多くて。
「そういう人を加虐したいんじゃないよな」と思って、「復讐相手じゃないんだよな」と気付いたりして。
自分の心の余裕がある時じゃないとできないなと感じました。
(沢山の方とやり取りができたのは、)期限を決めて始めたから、というのもあったと思います。
期限を決めてという形でLunaを使われて、どんな着地になられたんですか?
かえでさん:
最初は、プレイで相手をボコボコにしたらすごく楽しくて、いつの間にか笑っているような状態でした。
DVされていた父親にやり返すように、相手をボコボコにしたら、すごく楽しくて。
そんな自分にも、ちょっと戸惑いました。
でも、”父親のことをボコボコにしたい”という気持ちは、プレイの2〜3回で収まっていきました。
相手には、事前に「道具で殴る蹴るみたいなのもしたい」と伝えていたのに、(プレイ後に、)「あれ?しなかったですね〜」と言われて…
そこで、”気持ちが少しひと段落したんだな”と感じました。

かえでさん:
やっぱり相手は人間ですし、SMプレイは合意のもとで、良い意味での「おままごと」として成立しないといけないんです。
でも、我が家で起きていたDVや、小学生の頃に見ず知らずの人にされていたことは、合意なんて取られていないし、いきなりでした。
SMプレイを重ねる中で、「過去の再現は、ここではできないんだ」と感じました。
合意のもとに、どういうことして良いか悪いかを相談しての、プレイだから。
同意もなく、思いっきり…極端に言えば、「殺してしまうようなことはできないんだな」と思って、困ってしまった部分もあるんです。
そうなってしまうと、私の目的は、「どこかで捕まっていない犯罪者を後ろから襲って、ボコボコにする!」とかじゃないと達成できないのかな〜と思って…すごく、途方に暮れてしまって。
「SMの世界に足を踏み入れても、限界はあるんだ」、と。

かえでさん:
SMは、おままごとじゃないと楽しくないんだと思うんですよね。
ちゃんと前提があって、合意があって。
でも、私の過去は、前提も合意も何もない経験なので、その復讐はできない。
私は、加害者に復讐をしたかったのですが、それはできませんでしたね。
SMの世界に足を踏み入れて、他にも気付かれたことはありましたか?

かえでさん:
そういった自分の気持ちも含めて、Mの方とお話をしていく中で気付いたのですが…
Mの方には、”被害者”が多かったんです。
過去に、誰かにいじめられたとか、自分に自信がなくて、マゾになることでしか自分の存在意義を確認できないとか。
「今までの人生、どんなつらいことがあったんだろう」と思うような人が多くて。
そうなると、私は”傷ついてる人を傷付けたい”とは全く思わなくて。
だから、Mに目覚めた理由は必ず聞いていました。

かえでさん:
原因がはっきり分からない人も多かったのですが、
「虐待を受けて、そういうことでしか興奮できなくなりました」が理由だと、「それはダメ」と思って。
メッセージのやり取りの中で、
『あなたが受けるべきは愛情であって、加虐的なプレイではないので、私はできないです。
愛情を受けられるところにいってほしい。そうじゃなくても、きっと治療を受けるべきだと思います。
癒されて下さい。』と書きました。
そうしたら、「今までSの女性が、そこまで考えてくれたことはありませんでした。」って。
「これまで、自分が”癒される”なんて、思いつかなかったです。
なんだか、違う意味で、お会いしたいです。」と言われた時に、切なくなってしまって。

かえでさん:
私、ボコボコにされたら喜ぶんだと思ってたんですよ。マゾって。
私は鞭で強く叩くのが好きだったんですけど、その時に、本当に耐えて、痛そうに涙目になって我慢しているのとか…
”全然この人楽しそうじゃないし、喜んでる感じがしない”、”ただひたすら、辛いけど耐えてるんだ”って思ったら…
力が入らないというか、力が抜けてしまうというか、ある意味、やる気を失ってしまう感じがしました。
「かえでさんに認められたいんです。どれだけ辛いことをして、どれだけ耐えたかで認められるなら、認められたいんです。」と言われた時に、「そんなことまでしなくても認めるよ」って。
鞭を置いて、「お話しするだけでも認めるんだけど。何がどうしたの?」と思いました。
そういう傷ついた人が、決して満たされることはないのに、一瞬でも満たされるための自傷行為のような。
痛みが忘れられなくて、痛みを再体験したい、トラウマの再体験をしようとすることに対しては、協力したくないし、できないと思ったんです。

かえでさん:
私もそれなりに傷ついて、Lunaをやってみようと思ったけど、被害者を傷付けることはしたくない。
私は加害者に仕返しがしたかったのであって、誰かに傷つけられた人をさらにボコボコにしたいっていうのはなくて。
そうすると、その相手は見つかりませんでした。
どうやら、マゾさんたちは、なんらかの傷つきを持っていて。
その”傷”があることが普通になっていて、”ないと足りない”みたいになっている人なら、私は、相手には選びたくないという思いがあって。
楽しんでるマゾや、プレイをスポーツみたいに感じているマゾは滅多に見つからなかったです。
8月頃には、「SMである程度のことはできるけど、ある程度のことしかできない」ということに気付きました。
かえでさんにとって、Lunaの良かったところがあれば、教えていただきたいです。
かえでさん:
そうそう!私、Lunaの良かったところをノートに書いてきたんですよ!
まずは、「ネットニュースの記事になっているのを見た」というのが入り口としてすごく良くて、私でも登録しやすかったです。
SMの世界に手を出すのは、怖いじゃないですか。勇気も要るし。
そんな中で、ネットニュースに載っているのは、ちょっと一般的な感じがしますよね。
ネットニュースの記事に、「SM」や「Luna」が身近になるように橋渡ししてもらえたのは、とても良かったなと思っています。
それから、今身近になっている「マッチングサービス」という形態なのも、取り掛かりやすかった要因です。
私の周りにも、婚活サイトとかで結婚してる人がたくさんいますし、SMの中でも「マッチング」のサイトじゃなかったら、私はこの経験をしていなかったと思います。

かえでさん:
あとは、「思想の強さ」や「”選ぶ”嗜好」というのが私は分からなかったので、「自分はこういうのがいいな」という気持ちを認識することができたのも良かったです。
LunaとXが連携していたので、私はLunaがきっかけで、6月にXにも登録したんです。
Lunaだけだと、「自分の思考にマッチした人」としか話しませんが、XではSM関係の方の話が「おすすめ」として流れてくるじゃないですか。
色んな人の考えや意見を分かろうとすると、疑問が沢山出てきました。
「SMにおける相手との関係性」や、「愛での加虐ってどんな?」とか。
そういった問いがあるから、自分の思考を深めることができました。
LunaとXを併用していた6〜8月の3ヶ月で、自分でもXで沢山投稿をして、自分の思考を言語化していったら、心が整理されていきました。
ネットニュースを読んで、SMと出会ったり、Xを始めるきっかけになったり、一連の流れを作ってくれたLunaの存在は、私にとって有り難かったです。
最終的に、現在パートナーはいらっしゃらないんでしょうか?
かえでさん:
SMのパートナーは特に作りたいとは思っていなくて。
私にとっては、(Sとしてのプレイは)あくまで手段だったので。
そのケはあるんですけど、「性癖として目覚めた」ということはないんです。
だから、これから…誰かを、男の人を好きになりたいなって。
でも、マゾの人とはメッセージのやり取りを重ねて、他では話せない深い話を色々できました。
かえでさんにとって、一番変わったなという部分ってどういうところでしょう。
かえでさん:
今までの、ボコボコにしたい思いを解放したのもありますけど、1番の部分は…傷付いた男の人もいるんだな、とか。
優しい男の人もいて、そういう人もいるんだなってことに気が付きました。
最初は、”男の人は全員下等生物”と思っていたんですけど…
だんだんマゾの、自分達女性と同じ人間の部分、弱いところや傷ついているところを見て、人間として見えてきた感じです。
男の人の中にも被害者もいるし、自分と同じように弱いところを持っている人間なんだなっていう風に思って。
「男の中には、私を傷付けたような”下等生物”もいるかもしれないけど、皆がそうじゃない」って思えたことが、やっぱり一番大きいのかな。
まず、人間としてお話をすることができるようになったことも、大きな変化だと思います。
私はずっと女性専用車両に乗っていて、「女性専用車両が24時間だといいな」と思っていたんですけど、最近そこまで思わなくなったような気がします。

かえでさん:
あとは、幼いころのDVを夢でみて目覚めることがあったのですが、夢の中ではいつも泣き叫ぶことしか出来ていませんでした。
それが、ある日、夢の中の私は、相手をボコボコにして、鞭とか道具を使って戦っていました。
その時、私はもう小さい女の子ではなくて、大人で戦う力もあると気が付き、勝てるかもしれないと思えました。
それ以来、悪夢を見ていません。マゾに感謝しています。
もしかえでさんが変わるきっかけになれたのだとしたら、Lunaとしても、とても嬉しいです。
かえでさん:
ご飯が食べられなくなるくらいの状況じゃなかったら、私も飛び込めなかったですし、目的があったから、深く振り返ることができたというのもありますし。
Lunaさんに、一連の流れときっかけを作っていただけたから、スムーズに変わっていけた部分もあったと感謝しています。
最後に、Lunaを使われている方にメッセージをお願いします。

かえでさん:
安全に気をつけては欲しいのですが、私は自分が隠して・押し込めていた部分を出して、生きてみたことによって、新しいものを得られました。
「女性として、こうしなきゃいけない」という、女性性の縛りみたいなものからも、Sという立場をすることで解放されて。
それまで生きることのできなかった自分を生きられて、自分が自分らしい自分に、一致してきた感じがします。
だから皆さん、「自分らしい自分っていうのに巡り合って下さい」と伝えたいです。
他にも言っておきたいことがあれば、教えて下さい。
かえでさん:
意外に、SMを好む方々は真面目なので。
SMのことは、正しく怖がって、でもあまり怖がりすぎずにやっていけるといいなと思います。
私はLunaで色々な方と出会って、色々なことを投げられかけて、沢山悩んで行動したことで、本当に良かったです。
皆さんに感謝して、ありがとうございますって言いたいです。
ーーーかえでさん、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
Lunaでは、マッチングレポートにご協力いただける方を募集しています。
ぜひ、あなたのストーリーを聞かせて下さい。
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